これからBVE車両データを制作しようという方に向けて、「何が必要なのか分からない」という悩みを解消すべく、実際に使用してきたおすすめの機材をご紹介します。
BVEの車両制作には、運転台の撮影や走行音の収録といった実地取材が欠かせません。この記事では、必要な機材やその特徴をわかりやすくまとめました。ぜひ最後までご覧ください。
BVE車両制作では、電車の運転台を撮影し、モーター音や走行音などを収録する必要があります。そのために最低限必要なものは以下の通りです。
カメラ(できれば一眼レフや光学ズーム付き)
ハンディレコーダー(音楽用がおすすめ)
「BVE用だから高価な機材が必要」と思われがちですが、こだわりすぎなければ1~5万円程度の中価格帯のもので十分対応可能です。
走行音やモーター音を収録するため、ハンディレコーダーは必須アイテムです。ボイスレコーダーや音楽用など様々な種類がありますが、BVE制作には**音楽用のハンディレコーダー(1万円以上)**がおすすめです。
私が2013年から使っている定番の機種です(現在はバージョン3が販売中)。価格は1万円前後と手頃。
長所
無指向性マイクによる自然な収音が魅力。周囲の雰囲気も含めて収録できるため、臨場感ある音が録れます。
録音時のレベルを抑えても、後から音量を上げた際のノイズが少ないので、編集がしやすい。
短所
高周波の電磁ノイズに弱い。電波塔付近やエアセクション通過時にノイズが入ることがあります。
不要な低周波(60Hz以下)も拾いやすいため、ローカットフィルターの使用は必須。
私が初めて車両データを作ったときは、SONYの会見用レコーダーを使っていました。声に特化したマイクだったため相性はいまいちでしたが、DR-05に変えたときは、その場にいるような音が録れたことに感動したのを覚えています。
阪急電鉄の一部車両データはこのレコーダーで収録した音がベースになっています。
価格は約2万5千円。こちらは単一指向性のマイクを搭載しており、音の方向性を意識した収録が可能です。
長所
モーター音の収録に最適。特に床下の点検蓋付近に向けると、細部の音をクリアに拾えます。
マイクの指向角を90°~120°で切り替え可能。場の雰囲気重視にも対応できる柔軟性があります。
短所
DR-05より一回り大きく目立ちやすいため、録音時は周囲への配慮が必要。
起動に時間がかかる場合があり、操作もやや複雑な印象。
阪急9000系のRun音(モーター以外の走行音)はこの機種で収録しました。
BVEでは、計器の画像をもとに針を削除・再描画するなど、細かい画像編集が必要になります。したがって、ズームしても高画質を保てる光学ズーム搭載のカメラが必要です。
一眼レフや光学ズーム搭載のコンデジが最適
撮影環境は揺れる車内や暗所が多く、センサーサイズの大きいカメラが有利
iPhoneやスマホでは画質やブレの面で限界あり
Nikon D3100(初心者向け一眼レフ)
2017年頃まで使用。ダブルズームキットで約4万円。
入門機としては十分な性能。暗所でも安定して撮影可能。
📸 撮影例:阪和線205系車内(2014年)
後部から撮影した運転台の画像をもとに、パネルを作成。
2014年頃 阪和線205系車内にて D3100+キットレンズ
運転台の後ろから撮影した画像です。bveのパネル画像は運転席に座っているような、こういった画像を高画質で撮影する必要があります。線路が流れていますが、揺れる車内でも安定して撮影できる機材が必要となります。
Nikon D7100(セミアマチュア向け)
2021年頃まで使用。中古で4万円程度。
高画質。周辺部までディテールが崩れず撮影できる。
暗所や揺れにも強く、運転台の細部もくっきり撮影可能。
📸 撮影例:阪急9000系車内(2020年)
この画像をもとに、阪急9000系のCGパネルを制作。
2020年頃 神戸線 阪急9000系 車内にて
運転台の後ろから撮影した画像です。D3100の画像とは違い画像の四隅でもディテールが崩れることなく撮影できています。合焦箇所は速度計中心部ですが、その部分とても精細に撮影できています。この画像を元にCGで阪急9000系車両データを作成しました。
結論から言えば「がんばれば可能」ですが、あまりおすすめはできません。理由は以下の通りです。
スマホの画像は見た目は良くても、拡大するとノイズや粗さが目立つ。
特に表示灯の点灯・消灯編集など、解像度が低いと細かい作業が困難。
光学ズーム非搭載のスマホでは、ズーム撮影で画質が大きく劣化。
録音はほとんどがモノラル、かつ音質も良くない。
ローカットなどの機能が無いため、不要なノイズ(電車の低周波振動音など)を拾ってしまう。
不要音の除去やノイズ対策に、余計な編集時間がかかる。
例えば、編成表の数字を切り出す作業をしようとしたときに拡大せずに見て使えるかな?と思いますが右の画像の通り、拡大してみると遠くから見たときはくっきり数字として認識できますが、拡大して切り取ろうとすると、細かい輪郭がぼやけており画像編集で切り取ることは難しくなってしまいます。
また致命的な問題でスマートフォンは光学ズームが殆どの機種で搭載されていません。ズーム機能があってもデジタルズームですので解像感はどう頑張っても画質面で光学ズームにはかないません。また、取材では揺れる電車内や暗所でズーム撮影するなど撮影条件がよくないことが多いため、きれいな運転台を作るには一眼レフや光学ズーム搭載のコンパクトデジカメをおすすめします。
圧力計の数字を切り取ろうとしたとき、画像を拡大すると圧力計の数字がくっきり撮影できており、これだと画像編集で切り取れそうです。
また、これは広角側で運転台全体を撮影した画像ですが、一眼レフだと望遠でもっと拡大して撮影できるため、解像度が上がりより作業がしやすくなります。ですので、スマートフォンではなく一眼レフや望遠ズーム搭載のカメラがおすすめといえます。
bveでは計器を動作させるために、CGで作らない限りは画像編集で針を消す作業が必要です。
そのためこういった計器を大きく拡大して撮影することがあります。ですので光学ズームが無いと画質的に厳しいものになってしまうため、一眼レフやズーム機能があるコンパクトデジカメなどが適しています。
レコーダーに関しては実際録音してみて確かめてみてください。
bveで持ち出す機材でおすすめのものを紹介しました。機器の初期投資が学生の方なら少し厳しいかとは思いますが、撮り鉄の方なら一眼レフ持っている方も多いので、それはそのまま機材として充分使えます。レコーダも音鉄されてる方も多いと思うので手持ちの機材で気軽に作り始めてみるのもありかもしれません。
高い機材を買うほどデータのクオリティは比例して上がる傾向にありますし、必要な音だけをきれいに切り取ることができるので、後々の編集作業も楽で時間も節約できます。作ろうと思っているそこのあなた!少しだけお金をだして自分の好きな車両を再現してみませんか?