ここではVVVFインバータ制御車の性能の作り方について解説します。本当は前知識も解説したかったのですが、いい加減なことは書けないので、現状ではジャーク制御時にも正しく引張力が計算されるような性能の作り方について解説します。wikipediaの電気車の速度制御を参考にしてください。
ジャーク制御とは加速度をゆっくりと変化させることで乗り心地をよくする制御のことです。抵抗制御車ではそういうものはないので遮断の際にショックを感じます。インバータ制御車は電圧もしくはすべり周波数を細かく変化させることによって、力行ノッチを変更したときの加速度を連続的に制御します。
車両重量:M車平均35[t] T車平均25[t]
編成:4M4T
編成平均定員:130名
力行ノッチ数:4ノッチ
最大乗車率:200[%]まで制御
起動加速度:3.0[km/h/s]最大ノッチ以外は2.0[km/h/s]
トルク分電流:80[A]
無負荷電流:20[A]
無負荷電流は速度、ノッチによらず一定にします。1ノッチは応荷重制御なしにします。
BVEの性能テーブルに入力する引張力の単位は[N]で、これはF=maという運動方程式で計算ができます。
Fが力[N]、mは質量[kg]、aは加速度[m/s^2]です。まず、はじめに質量を考えます。まずはじめに慣性係数も吟味した編成全体の質量を求めます。加速する際M車1両が出す加速度は基本的に均一にすることから、編成全体の重さを算出します。
慣性係数とはギヤなどを加速させる際に必要な力を質量に変換する係数のことです。普通の電車の場合、M車は10%、T車は5%と決められています。
M車の慣性質量は35000[kg]×4[Car]×(1+0.1)=154000[kg]
T車の慣性質量は25000[kg]×4[Car]×(1+0.05)=105000[kg]
編成全体では154000[kg]+105000[kg]=259000[kg]
となります。質量を求めている式の()の部分が慣性係数を含む部分です。最大乗車率の時の客の重さは、
130[人]×2[倍]×8[Car]×55[kg]=114400[kg]
となります。55[kg]は一人あたりの体重です。人によってバラバラですが平均的に55[kg]と決められています。
259000[kg]+114400[kg]=373400[kg]
最大乗車率の時の引張力は上記の式の質量で計算します。
①で重さが計算できたので、次は加速度を考えます。加速度は3.0[km/h/s]と決めましたので、これに起動直後の走行抵抗分を加えます(0.05[km/h/s]ぐらい)これはしなくても良いかも知れないです。
3.05[km/h/s]を[m/s^2]に変換します。変換は3.6で割るだけです。
3.05[km/h/s]÷3.6=0.8472[m/s^2]
これで、引張力が計算できます。編成全体の引張力(空車時)はF=maより
259000[kg]×0.8472[m/s^2]=219424.8[N]
これをM車の数で割ると
219424.8[N]÷4=54856.2[N]
になります。これで起動加速度の時の引張力を求めることができました。この値は定トルク領域で使用します。
満車時の引張力と起動加速度2.0[km/h/s]の時の引張力は各自求めてみて下さい。