BVEの車両パラメータの解説をしているサイトや文献があまりないため、こちらに記させていただきたいと思います。独自研究が一部含まれているので正確性に欠けるかもしれません。ある程度の電車の知識は必要になりますが、何かの参考になればと思います。できるだけ簡単に記述しているつもりです。
これは先頭車がモーターありか無しかを記述します。電車は先頭車に必ずモーターがついている車両が連結されているとは限らないのでそれを決定します。
JRの呼び方で考えるなら、クハならFirstCar = T、クモハならFirstCar = M です。
再現するアドオンが1両編成の場合は、FirstCar = Mにしなければなりません(当たり前)
気動車ならFirstCar = Mにするのが良いでしょう。
このパラメータがBVEの中でどのように影響する点は具体的には以下が上げられます。
電車が電気ブレーキをかけたときのBc圧
電車はブレーキをかけたとき、モーターを発電機にして電気ブレーキを使います(車のエンジンブレーキみたいなもの)。その時はモーター車の空気ブレーキは使わない(厳密に言うと初コメ圧がかかっている)ので、運転台にある圧力計のブレーキシリンダーが0[kPa]になるのですが、モーターのついてないT車では空気ブレーキしか当然ありませんので、ブレーキシリンダーは0になりません。
そのためPanelのSubject = bcに渡ってくる値が変わってきます。
空転・滑走したときの速度
あまり再現しているデータが少ないですが、空転・滑走や雨天時の挙動を再現する場合、FirstCar = Mにすると空転したとき速度計が荒ぶります。逆にFirstCar = Tにした場合は空転した場合でも、モーター音が空転している音が鳴っていたとしても速度計は荒ぶりません。逆にブレーキ力が強すぎて車輪がロック方向(滑走)の場合は速度計が荒ぶります。
そのためPanelのSubject = kmphに渡ってくる値が変わってきます。
ATSプラグインのElapse関数の引数であるVehiclestate.Speedの値も変わってきます。
Q.0.5M車ならどうすればいいのか?
A.先頭台車にモーターがついているかついていないかで判断しましょう。
電車の運転台についている圧力計は先頭車かつ、運転席に一番近いブレーキシリンダー圧力だったりを表示している可能性が高いです。なので運転席に近い台車が電動台車ならFirstCar = M、ついていないならFirstCar = Tにしましょう。これを考える必要がある電車は少ないですが、JR西日本125系など単行電車で1両編成の場合など、運転方向を考える必要性がある場合はこのパラメータを柔軟に扱う必要があります。
Q.空転と滑走とは?
A.空転=空回り 滑走=ブレーキロックと考えましょう。
厳密な言葉の定義はここでは説明しませんが、空転は自動車で例えるなら雪道でスタックする場合などタイヤが空回りする場合で、滑走は雨の日に急ブレーキをかけても間に合わない(スリップ)です。
このパラメータは応荷重制御が有効か無効を選択します。有効ならLoadCompensating = true 無効ならLoadCompensating = falseです。
作る車両にもよりますが平成以降に作られた電車ならLoadCompensating = trueで間違いないと思います。
もし作る車両が自動空気ブレーキの車両ならLoadCompensating = falseにしましょう。
鉄道車両には応荷重装置というものがついていて、乗客の多い少ないに応じてブレーキ力を自動で調整してくれます。例えば常用最大ブレーキの減速度が3.5[km/h/s]だとしたら、車内に0人だろうが100人だろうが、常に同じ減速度3.5km/h/sで減速してくれるようになっています。自転車で例えるなら、前カゴに重いものを乗せているときと何もないときではブレーキはより強く握らないと止まらないはずです。鉄道車両では運転士が常に同じ操作をしても同じ減速度になるように鉄道車両が自動的に調整を行ってくれています。
このパラメータがBVEの中でどのように影響する点は具体的には以下が上げられます。
BC圧力が乗車率によって変動する
trueにした場合は、例えば毎回駅停車中に非常ブレーキを投入していたとしても、bc圧力が変わる可能性があります。350[kPa]など410[kPa]など。
このパラメータの注意点としては、空気ブレーキにしか作用しないことです。
このパラメータをtrueにしていたとしても電気系には介入しません。加速する際の加速度を一定に保つ方の応荷重制御は、別に車両性能テーブルで自前で計算する必要があります(めんどくせ~)
このラベルは運転台のハンドルがワンハンドルかツーハンドルかを決定します。これは運転席を見れば一目瞭然なので特に迷うことはないかと思います。
両手ワンハンドル
[OneLeverCab]
ツーハンドル
[Cab]
片手ワンハンドル
[OneLeverCab]
ツーハンドル
[Cab]
このセクションで考えられる点としては、一部厳密な再現ができない車両があるということです。以下が挙げられます。
電気機関車などのブレーキが2つある車両
気動車で電車の進行方向を決定する逆転器以外に、変速・直結を切り替えることができる車両
逆転器(前・切・後)が3段階以外の車両
ハンドルが2つあるのが写真からもわかるように、電気機関車のみのブレーキハンドルと貨物と電気機関車両方のブレーキを扱うブレーキ弁と分かれています。このような場合はBVE純正のみの機能では完全な再現はできません。
どちらか片方のブレーキハンドルに絞って再現するか、ATSプラグインを用いて自力でプログラミングし再現する必要があります。
真ん中の手歯止め札がかかっているのが車で言うとアクセルですが、その脇にレバーが2つあるのがおわかりいただけると思います。電車の進行方向を決める逆転器、そして
車でいうとシフトレバーに相当するものがあります。
変速を省略して自動変速で性能を作るか、ATSプラグインを用いて自力でプログラミングし再現する必要があります。
逆転器が3段階以外にある車両は例としては近鉄21000系(さくらライナー)が挙げられます。前(高速)・前(低速)・切・後と4段階ある全国的に見ても珍しいレバーサハンドルです。BVEでは逆転器は3段階のみしか対応していないため、これも自力で再現する必要があります。画像はありません。すみません。
BrakeNotchCountはブレーキ段数(非常ブレーキ以外)入力します。
電磁直通ブレーキの車両は実際は無段階ですが、多くの電車ゲームは8段階に設定するのが定石なようですので8で良いでしょう。
注意点としては、ブレーキハンドル1段目が抑速ブレーキの場合はそれも込みの段数を入力します。
稀に非常ブレーキ位置と常用最大ブレーキの間に抜取位置がある電車もありますが、これは省略して考えます。
PowerNotchCountはマスコンの段数を入力します。
例:JR西日本223系の場合
加速は5段階ブレーキは7段階+抑速ブレーキ
PowerNotchCount = 5
BrakeNotchCount = 8
例:JR東日本E231系の場合
加速は5段階ブレーキは8段階
PowerNotchCount = 5
BrakeNotchCount = 8
例:国鉄113系の場合
加速は4段階ブレーキは無段階(電磁直通ブレーキ)
PowerNotchCount = 4
BrakeNotchCount = 8
電車の運転席のハンドルに銘板が貼ってあって、段数が書かれている事が多いのでそれを参考にしましょう。またウィキペディアや鉄道ファンなどの鉄道情報雑誌にも「マスコンは5段、ブレーキは7段階である~・・・」などの記載がありますのでそれも確認するとよいでしょう。
余談ですが、自宅運転台を作る場合で実物のブレーキ弁をお持ちの方で、可変抵抗器などでブレーキハンドルの角度を得る場合はBrakeNotchCount = 60など多段階にしてアナログっぽく作ることも可能です。
加速側のマスコンを逆回しにしたり、あるいは奥に倒したりして抑速ブレーキを効かせる電車で段数を入力します。
握って時計回りでは加速側、反時計回りでは抑速ブレーキを使用することができます。
この電車の場合刻みは5段階のためHoldingSpeedNotchCount = 5になります。
ブレーキの1段目が抑速ブレーキかどうかを決定します。HoldingBrakeNotch = trueなら下り坂を下っているときに自動的に電気ブレーキが作用し、速度を一定に保ってくれます。具体的な車両だとJR西日本223系がわかりやすいと思います。
注意点としては[Brake]セクションのPressureRatesのブレーキ一段目に相当する値は0にしましょう。正常に動作しなくなります。
主にJRの車両でATS確認操作に必要なブレーキの段数を入力します。ATSプラグインのvehiclespec.AtsNotchにこの値が渡されます。
電磁直通ブレーキの車両において、ブレーキを強めにかけないとATS確認扱いができない車両が存在します(ブレーキハンドルの電気接点に当たらないため)また、先述した223系の場合はブレーキハンドルの一段目が抑速ブレーキとなりますから、AtsCancelNotchは2にする必要があります。
主にJR車両を再現する場合に使用するパラメータと考えたら良いでしょう。
ブレーキの何段階目から電気ブレーキを作用させるか入力します。主に電磁直通ブレーキの車両でこのパラメータは活躍します。
電車のブレーキ弁は運転士が微調整できるように、ブレーキハンドルをある程度かけないと電気ブレーキが作用しないようになっています(遊びを設けている)
観察して何段目からかわからない場合は1段目でも良いと思います。ブレーキ弁にもよりますが、交友社の直流用新型電車教本などの詳細な資料で確認することができます。
カンマ区切りで入力します。
ReverserTextは後,切,前など後ろ位置から
BrakeTextはブレーキオフから非常ブレーキまで、例(ブレーキ7段階の車両の場合)
BrakeText = B0,B1,B2,B3,B4,B5,B6,B7,EB
PowerTextはマスコンオフからフルノッチまで、例(マスコン5段階の場合)
PowerText = 切,P1,P2,P3,P4,P5
HoldingSpeedTextの説明は省略します。
特にこだわりがない場合は、電車の運転台にかかれている銘板をそのまま転写するのが良いでしょう。
また半角でも全角でも書くことができます。P1、P1など。お好みで記述しましょう。
注意点としては、きちんと入力してあげることです。ブレーキはブレーキオフから非常ブレーキまで、加速はノッチオフからフルノッチまで正確に入力しましょう。
「値が有効な範囲にありません」や「オブジェクトインスタンスがオブジェクト~~」などエラーが出現し一切読み込めなくなってしまいます。しかもBVEはこのパラメータが原因でエラーが出ていることを教えてくれません。